琉華さんの昔話を少しwほんの一部

「…鳳條院の星さんと楠さん、お亡くなりになったそ うね…」 「子供達だけ、らしい…」

ああ、またか

「近いうちに熊家に引き取られるそうよ」 「熊家はあまりいい噂きかないし…」

ー関わらない方が賢明ね…ー

…どいつもこいつもなんなんだ、お父さん達がいた頃 は仲良かったのに 態度コロッと変えて

なにもかも憂鬱だなぁ 「オイ琉華!!お前の兄ちゃん人殺したんだって な!!!!!!!お前も人殺したのか???!!」

「…」

「何黙ってんだよ!!人殺しの弟!!!」

前と変わらず接してくれる優しい人たちもいるけど、 こういう輩が増えた気がする

「…やだなぁ、僕が人を殺すわけないじゃないか」

軽く流しておこう そう思って踵を返そうとした

「お前の親も兄弟も弱いよなーいずれお前らも殺され るんじゃねーの」 笑いながらそんなことを言った

そう言われたことで今まで我慢してきた感情があふれ でてきた

気付けば僕は茶色の丹がとれたコンクリートの壁を殴 り付けていた あいつの目は信じられないと言っているようなほどに 見開いていた 「…いちいちうるさいんだよ、お前に僕の兄弟のなに がわかる、両親のなにがわかる」 今まで我慢してきた感情 僕が騒ぎを起こせば澪兄達に迷惑がかかる だからずっと我慢してた ずっとずっと、なにがあっても笑ってた …そんなのもう無理だよ 僕だって辛いんだ苦しいんだ悲しいんだ あいつは耳がつんざくほど叫んでいるけどそんなの気 にしない 無意識に殴り続けた 気付けば僕は自分の部屋の布団で眠っていた 服や顔には血がついてる 返り血だ 「琉華、起きたか」 「琉華くん…」 部屋の隅に澪兄と琉兎が座ってた 「…澪兄、僕…」 「何も言わなくていい」 澪兄は僕を抱き締めてそう言った 「琉華くん痛いところない??大丈夫??」 琉兎は泣きながら僕に抱き付いてた やっぱり迷惑かけちゃったな 「…琉華、お前は何も我慢しなくていいんだ俺達に 気を使うな、兄弟だろう 」 「そうだよ…私たち3人で頑張っていこうよ」 「…澪兄、琉、兎……」 「今までよく頑張ったな…もう無理はするなよ」 「琉華くん、一人で抱え込まないでね…」 目から雫が落ちた 「ご、めっ…ごめんなさい………迷惑かけてごめんなさ いっ……」 その日は澪兄と琉兎の服が僕の涙でぐしゃぐしゃにな るくらいずっと僕は泣いてた